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〔原理〕 杭頭をハンマー軽打することにより"Low strain"の縦波を与えると、図−1に示すように杭先端や杭体途中の断面変化や亀裂部から反射波が発生します。 生じた"応力波"は、杭体内を速度c=√E/ρ,(E:弾性係数,ρ:杭材の密度)で伝わり、一般に健全な杭であれば、杭先端で反射しt=2L/c (L:杭長)後に再び杭頭に返ってきます。 この反射波を、杭頭部に設置した加速度計により計測し、反射波の到達時間や振幅の方向から、損傷の種類や深度を評価します。 |
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〔特徴〕 ・簡便・迅速に試験が実施可能であり、経済的に優れています。 ・試験装置が小型・軽量で、システムもシンプルな構造です。 ・杭体に損傷を与えることなく、試験ができます。 ・単杭を対象とした施工管理に関しては、欧米では十分な実績がります。 ・フーチング上面からの測定も条件により可能です。 ・コンクリート杭、鋼管杭への適用が可能です。 |
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〔適用〕 ・杭長および根入れ長の確認 ・杭断面の縮小・拡大の有無の確認とその深度 ・杭体中の亀裂の有無の確認とその深度 ・橋脚や橋台の根入れ深さの確認 ・矢板長の確認 |
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杭の健全性の評価に関する課題と調査法について | ||
1.調査目的 杭の健全性の評価とは、想定する荷重に対し耐荷性能を満足するかを確認することである。しかし、既設杭は、建設後に年月が経過し設計基準の変更や地震外力などを受けているケースもある。したがって、健全性を満足することの解釈としては、次の点が挙げられる。 @物理的損傷が全くないか。 A既設杭が現行設計基準どおりの耐力を有しているか。 B設計当時の設計基準どおりの耐力を有しているのか。 C改修などにより、基礎が支持している(する予定の)荷重に対し、耐力を有しているのか。 |
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2.評価のポイント 1)設計基準を満足するのか 既設杭の耐荷力を評価する上で、次の情報が必要になる。 @杭の諸元、形状 ・杭の諸元 :杭長、杭径、杭種、杭配置。 表層付近の試掘により、杭頭部を露出させることで、杭種、杭径は直接計測することができる。杭長は、後述する調査法で測定することになる。 ・杭体の損傷 :杭体亀裂の有無および深度、損傷度。 杭体損傷の有無、深度は、後述の調査法で測定可能である。 ただし、その評価については、損傷程度と耐力評価との相関は困難で、一般的には損傷有=不健全と位置付けるしかないのが現状である。 ・地盤への根入れ :支持地盤への杭先端部の根入れ長さ 杭長が正確に測定されていても、実際に支持地盤の不陸のため、根入れが確保されているかは、別の問題である。 後述のように、地盤によっては杭長測定時に根入れ長も把握することが可能であるが、とともに、支持層深度を把握する必要がある。 A支持地盤の諸元 2)新たな荷重に対し、どの程度耐力を期待できるのか |
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表-1 各種調査方とその適用性1)![]() 1)土木研究所 共同研究報告書第236号「橋梁基礎構造の形状および損傷調査マニュアル(案)」、H11.12 |
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1)ボアホールレーダ @測定できる項目と精度 杭長の測定は可能。 損傷の判断は困難。 根入れ長さは地盤の誘電率の変化から推定は可能。 (調査孔削孔時にN値の測定は可能) 測定精度は、杭先端部を直接探査するため、±0.5m以内である。実績としては±0.2m。 ボーリング孔から杭体までの距離が測定可能。(杭位置や杭傾斜が測定可能) A測定時の適用性 ボーリング孔を必要とする。 ボーリグ長さは想定杭長+5m程度必要。 砂礫支持地盤では、レーダの礫による乱反射の影響を受け、判断が難しくなる場合がある。 測定深度は40mまで可能(ケーブル長に依存) 鋼製、コンクリート製の杭種に対応。 塩水中での減衰が大きく、杭体から0.5m以内に観測孔を設ける必要がある。 2)孔内磁気探査 4)衝撃振動試験 5)速度検層 1)杭体の損傷の有無を確認する 3)杭長および杭体損傷の有無、地盤パラメータを確認する |